東京医科歯科大学第一口腔外科をやめてから 5

あのころはインターネットもなく、就職情報も限られていましたからどうやって見つけたのか記憶がありません。

ともかくインプラント専門医の求人をみつけました。
口腔外科にいた実績を発揮できるとよろこびました。

○○○ーサルインプラント研究所というところです。
面接で行った赤坂の診療室には立派なオペ室がありました。
小さいけれどしっかりした無影灯もついていました。

院長はいくつかあるインプラント学会の一つの学会の会長も務めた人でした。
インプラントの雑誌などにもよく名前が載っていました。

開口一番
「インプラントをやりたいという人がいっぱいくるんだけれど、基礎ができてない。
君のように口腔外科やってきた人でないとだめなんだよ」

歓迎されてすぐに就職は決まりました。
が、決まったのは赤坂から1時間以上かかる府中にあるはるか遠い分院。

そこは暗く、きたない病院でした。
もちろんオペ室もない。滅菌は超音波洗浄機のみ(もちろんこれだけでは滅菌できるはずがありません)。
レントゲンの自動現像機はこわれている。
必要な材料なども買ってくれない。

私は表面麻酔剤を自分で作りました。

そんなケチな病院ですが、技工士さんが5人もいる。
あとでわかったことなんですが、患者さんの口から外した金属を溶かして使っている。
それにインプラント本体を偽造している。これは犯罪です。



で、私は一般治療。
歯科医は私を入れた3人と週に2度来る院長。
給与は歩合です。

が、患者さんの割り振りをするのは受付の女の子。
実はこの女の子と一人の歯科医が付き合ってる。
だから患者さんは彼のところに多く割り振られる。

もう一人の歯科医は日本歯科の後輩の女医。当然親しくなります。
がこの女性が曲者だったんです。
これはあとでわかることになります。

そこのインプラント手術は全部院長がやる。

が、適当。第一滅菌も適当ですから。

オペの後ステロイドの粉末を瓶からティースプーンですくって骨の中に入れる。もちろん滅菌なぞしていません。

こんな適当でいいのかと思いました。

こんなことでインプラントができるなら口腔外科の技を使えばもっとしっかりできる。

ともかく給与は低いし、患者さんは割り当てられない。

暇です。

だから精肉卸売の業者から豚の頭を買ってきました。
インプラントの練習のためです。

もちろん自腹です。
後輩の女医と練習していました。

余談ですが豚の歯は簡単に抜けません。当時の東京医科歯科第一口腔外科の中で一番を自負する腕をもっても抜けない。
豚専門の歯科医にならなくてよかったと思いました(笑)

が、院長は気に食わないらしい。

この院長。診療室ではおとなしいのに院長室に入ると豹変する。
ヒステリックに怒るんです。
練習はだめだと。

そこで医局で本を読んでいました。

すると一般の本はだめだと。

しかたなく医学書を前にして読んでいるふりで時間をつぶします。

この院長の話は別の機会にお話しします。

続きはまた後日。

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