遠い国から来たミラー

ある患者さんの話をします。

そのAさんはイギリス人で日本の女性と結婚しました。

男と女の子供が2人。

私がイギリス人の方の治療をしていた頃、2人のお子さんは高校か大学かくらいの年齢でした。

しかし、2人とも英語が苦手。

またAさんも少し早口で日本語はさほどうまくなかった。

「お父さんって何言ってるかわかんない!!」娘さんはよく言ってました。

「お父さんを大事にしてあげなきゃ。言葉も習慣も違う国に来て家族を養って。自分が外国に行って暮らすこと考えてごらんよ」
私は娘さんによく話していました。

が、彼女はAさんとは打ち解けないようでした。

自分がAさんだったら悲しかっただろうと思います。

数年に1度イギリスのご両親に会いに行かれていました。
その方のお父さんというのはは歯科医だったそうです。

ある時、Aさんは一本のミラーを私に渡して、「先生にこれをあげます」

Aさんのお父さんが使っていたというミラーでした。

本来はお子さんにあげるはずだったんでしょうか?

父親の形見のミラーでした。


後日その方が癌で亡くなったというのを奥様から聞きました。

一度ゆっくり飲みながらイギリスの話聞かせてくださいという約束は消えてしまい私の机の引き出しにミラーだけが残りました。

今もそのミラーは引き出しに眠っています。

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